37.最大仕事(難易度:⭐️)

目次

  1. 最大仕事
  2. 最大仕事の原理
  3. 最大仕事の原理の証明

 

みなさん、勉強おつかれさまです!!

以前に、理想気体がする仕事を具体的にもとめました!

この図のように、体積を\(V_{1}からV_{2}\)に気体の体積を増やした時に

気体が外にする仕事は

(断熱変化でする仕事)\(<\)(等温変化でする仕事)

という風になります。

(等温操作での仕事を復習したい方はこちら、断熱操作での仕事を復習したい方はこちらからどうぞ!)

 

ここで、余談ですが人々はこの長い歴史の中で

熱機関などを考えることによって

熱からどれくらいエネルギーを取り出せるのかを考えました。

その結果、最大仕事というものを考えていったのです。

なので私たちもここから「最大仕事」というものを考えていきたいと思います。

まずは、「最大仕事」の定義を紹介します。

 

1.最大仕事

最大仕事

等温操作\(( T ; X_1)\overset{i}{\longrightarrow}( T ; X_2)\)において、
系が外界にする仕事が最大になるものを「最大仕事」という。
\(W_{max}( T ; X_1 \rightarrow X_2)\)と書きます。

 

なぜこのように「最大仕事」を決めたの?

これからの議論がしやすくなる!!

 

最大仕事とは、温度\(T\)と変化の初めの状態と終わりの状態のみが指定されています。

なので、最大仕事というのはそれだけで決まってしまう量なのです。

私たちがいままで考えてきた「仕事」というのは、途中の経路が決まっていないと

具体的に計算することができませんでした!

(例えば、等温操作か断熱操作かがかわっただけでも値が変化してしまいました…..)

しかし、最大仕事というものは、初めの状態と終わりの状態が決まれば値が一つに決まります。

なので、最大仕事というのは理論的な考え方に使うのにとても便利なのです!

 

なのでここからこの最大仕事を掘り下げてみていきましょう。

 

2.最大仕事の原理

まず、「最大仕事」の重要な性質として「最大仕事の原理」というものがあります!

最大仕事の原理
最大仕事\(W_{max}( T ; X_1 \rightarrow X_2)\)は任意の等温準静操作\(( T ; X_1)\overset{iq}{\longrightarrow}( T ; X_2)\)において外にする仕事に等しくなる。

さて、「等温準静操作」という言葉が出てきました!

どういうものかすぐに言えるでしょうか??

 

 

簡単に言うと、「すごくゆっくりとする等温操作のこと」です!

(等温準静操作について復習したいかたはこちらからどうぞ!)

 

それでは、これを証明していきたいと思います!!

 

 

3.最大仕事の原理の証明

導き方(証明)

等温準静操作\(( T ; X_1)\overset{iq}{\longrightarrow}( T ; X_2)\)において系が外にする仕事を \(W\)とし

ただの等温操作\(( T ; X_1)\overset{i}{\longrightarrow}( T ; X_2)\)において系が外にする仕事を\(W’\)をおきます。

ここで「等温サイクルにおけるKelvinの原理」を思い出すと

「等温サイクルは外界に対して正の仕事をしない」というものでした。

なので、これを使えるように、等温サイクルをいまからつくります。

ここで、さきほどつくった、等温準静操作と等温操作を組み合わせて

以下のような等温サイクルをつくります。

\(( T ; X_1)\overset{i}{\longrightarrow}( T ; X_2)\overset{iq}{\longrightarrow}( T ; X_1)\)

確かに、温度\(T\)は変化していないので、等温操作です!

このとき系は、\(( T ; X_1)\overset{i}{\longrightarrow}( T ; X_2\)で\(W’\)の仕事を外にし、
\(( T ; X_2)\overset{iq}{\longrightarrow}( T ; X_1)\) で、\(-W\)の仕事を外にします。

したがって、一周する間に系がする仕事、\(W_{サイクル}\)は、

$$W_{サイクル}=W’-W$$

となります。

ここで、「等温サイクルにおけるKelvinの原理」より、

等温サイクルは外界に対して正の仕事をしないので

\begin{align}
W_{サイクル}&\leqq 0 \\\\
W’-W &\leqq 0 \\\\
W’ &\leqq W \\\\
\end{align}

ここで、\(WとW’\)は好きなような選べるので、

任意の等温準静操作において系がそとにする仕事\(W\)は

「任意の等温操作における系が外にする仕事\(W’\)よりも大きい」

つまり、これは最大仕事の定義から

$$W=W_{max}$$

となります。

よって示すことができました!

 

まとめ

最大仕事:等温操作において、系が外界にする仕事が最大になるものを「最大仕事」という。
\(W_{max}\)と書く。

最大仕事の原理:最大仕事は任意の等温準静操作において外にする仕事に等しくなる。

 

この単元は以上です!お疲れ様でした!

 

 

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