目次
みなさん、勉強おつかれさまです!!
この単元では
「ポワソンの関係式」
1.断熱操作
まずは、断熱操作について復習しましょう!
断熱操作
ある状態から、別の状態へと熱のやりとりなしに変化させる操作
はい!
「断熱変化」について不安な方はこちらの記事で是非復習してくださいね!
今回は、「理想気体」を「断熱操作」で変化させた時の性質について勉強します!
2.ポワソンの関係式
ポワソンの関係式
理想気体を断熱変化させるとき温度\(T\)と体積\(V\)と圧力\(p\)は以下の関係が成り立つ。
\begin{align}
\ln{T} \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
p\cdot V^{\gamma} &= 定数
\end{align}
ポワソンとはこの3つの式のことをいいます!!
「おっ、なんか3つ出てきた、ほかのサイト行こうかな、、」
と思ったそこのあなた!!大丈夫です!!
この三つの式はお互いに変形して導くことができます!!
3.ポワソンの関係式の証明
ここから証明をしていきます!
導き方(証明)
まず、「断熱変化」において、内部エネルギーの微少変化分\(\Delta U\)を、
熱力学第一法則と状態方程式を用いて2通りの方法で表現します!
一つめの方法
前回の単元より、
$$\Delta U=\int_0^1 C_V dT$$
とかけていたので、この式より、
$$\Delta U= C_V \Delta T$$
と\(\Delta U\)を表現することができます。
二つ目の方法
一方で熱力学第一法則より、
$$\Delta U =\Delta Q + \Delta W’$$
今は断熱変化なので、\( \Delta Q=0\)より、
\begin{align}
\Delta U &=\Delta Q + \Delta W’\\\\
&=0 + \Delta W’\\\\
&=\Delta W’
\end{align}
ここで、今は気体のことを考えているので、
仕事\(W’\)は、\(W’=-pV\)と書くことができます。よって、
\begin{align}
\Delta U &=\Delta W’\\\\
&=-p \Delta V
\end{align}
また、いま考えているのは、理想気体なので、ボイル・シャルルの法則
\begin{align}
pV &= NRT\\\\
p&= \frac{NRT}{V}
\end{align}
を使うことができます。
なので、これを先ほどの式に代入すると、
\begin{align}
\Delta U &=\Delta W’\\\\
&=-p \Delta V\\\\
&= -\frac{NRT}{V} \Delta V
\end{align}
よって、
$$\Delta U = -\frac{NRT}{V}\Delta V $$
こうして、内部エネルギー\( \Delta U\)を2通りの方法で表すことができました!
なので、この二つの式\(\Delta U= \frac{NRT}{V}\Delta V ,\Delta U = -\frac{NRT}{V}\Delta V\)を
=で結ぶと、
$$C_V \Delta T = -\frac{NRT}{V}$$
したがって、
$$C_V \Delta T +\frac{NRT}{V} \Delta V=0$$
この式を微分方程式としてとくことで、
ポワソンの関係式を導出します。
先ほどの式の両辺を\(NRT\)でわると、
$$\frac{C_V}{NR}\frac{\Delta T}{T}+\frac{\Delta V}{V}=0$$
となります。ここで前回の単元で学んだ、
マイヤーの関係式(定積熱容量と定圧熱容量の関係式)
$$C_p – C_V = NR$$
を用いると、一項目は
\begin{align}
\frac{C_V}{NR} &= \frac{C_V}{C_p – C_V} \\\\
&= \frac{1}{\frac{C_p}{C_V}-1}\\\\
&= \frac{1}{\gamma-1}\\\\
\end{align}
と変形することができるので、
$$\frac{1}{\gamma-1}\frac{\Delta T}{T}+\frac{\Delta V}{V}=0$$
となり、
$$\frac{\Delta T}{T}+(\gamma-1)\frac{\Delta V}{V}=0$$
という風に整理することができます。
ここで、\(\Delta T \rightarrow 0\),\(\Delta V \rightarrow 0\)という極限をとると、
$$\frac{dT}{T}+(\gamma-1)\frac{dV}{V}=0$$
この式の両辺を積分することで、
\begin{align}
\int \frac{dT}{T}+ \int (\gamma-1)\frac{dV}{V} &= 定数 \\\\
\ln{T}+ (\gamma-1)\ln{V} &= 定数 \\\\
\ln{T}+ \ln{V}^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
\ln{T \cdot V^{\gamma-1}} &= 定数 \\\\
\end{align}
これでまず、ポワソンの関係式の一つ目を示すことができました。
次にこの式を変形して、二つ目の式を導出します。
先ほどの式の\( \ln \)をとると、
$$T \cdot V^{\gamma-1} = e^{定数} $$
\(e^{定数}\)という値も定数になるので、
$$T \cdot V^{\gamma-1} = 定数 $$
となります。これで二つめの式を導出することができました。
最後にこの式から三つ目の式を導出します。
理想気体というのは「ボイル・シャルルの法則が常に成り立つ」ので、
\begin{align}
pV &= NRT\\\\
T&= \frac{pV}{NR}
\end{align}
を2つ目の式に代入すると、
\begin{align}
T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
\frac{pV}{NR} \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
\frac{pV}{NR} \cdot \frac{V^{\gamma}}{V} &= 定数 \\\\
\frac{p}{NR} \cdot V^{\gamma} &= 定数 \\\\
\frac{1}{NR} p \cdot V^{\gamma} &= 定数 \\\\
p \cdot V^{\gamma} &= NR \cdot 定数 \\\\
\end{align}
\( NR \cdot 定数\)という値も定数になるので、
$$p \cdot V^{\gamma} = 定数$$
よって、三つ目の式も導出することができました!
よって、
ポワソンの関係式を表す三つの式
- \(\ln{T \cdot V^{\gamma-1}} = 定数\)
- \(T \cdot V^{\gamma-1} = 定数\)
- \(p \cdot V^{\gamma} = 定数\)
となり、ポワソンの関係式を導くことができました!!
まとめ
断熱操作:ある状態から、別の状態へと熱のやりとりなしに変化させる操作
ポワソンの関係式
理想気体を断熱変化させるとき温度\(T\)と体積\(V\)と圧力\(p\)は以下の関係が成り立つ。
\begin{align}
ln T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
p\cdot V^{\gamma} &= 定数 \\\\
\end{align}
この単元は以上です!お疲れ様でした!
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