33.ポワソンの関係式(難易度:⭐️)

目次

  1. 断熱変化
  2. ポワソンの関係式
  3. ポワソンの関係式の証明

 

みなさん、勉強おつかれさまです!!

この単元では

ポワソンの関係式

というものを学んでいきましょう!!

 

1.断熱操作

まずは、断熱操作について復習しましょう!

断熱操作

ある状態から、別の状態へと熱のやりとりなしに変化させる操作

はい!

「断熱変化」について不安な方はこちらの記事で是非復習してくださいね!

今回は、「理想気体」を「断熱操作」で変化させた時の性質について勉強します!

 

2.ポワソンの関係式

 

ポワソンの関係式

理想気体を断熱変化させるとき温度\(T\)と体積\(V\)と圧力\(p\)は以下の関係が成り立つ。

\begin{align}
\ln{T} \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
p\cdot V^{\gamma} &= 定数
\end{align}

ポワソンとはこの3つの式のことをいいます!!

「おっ、なんか3つ出てきた、ほかのサイト行こうかな、、」

と思ったそこのあなた!!大丈夫です!!

この三つの式はお互いに変形して導くことができます!!

では以下で、これらの式を導いていきたいと思います!

 

3.ポワソンの関係式の証明

ここから証明をしていきます!

 

導き方(証明)

まず、「断熱変化」において、内部エネルギーの微少変化分\(\Delta U\)を、

熱力学第一法則と状態方程式を用いて2通りの方法で表現します!

 

一つめの方法

前回の単元より、

$$\Delta U=\int_0^1 C_V dT$$

とかけていたので、この式より、

$$\Delta U= C_V \Delta T$$

と\(\Delta U\)を表現することができます。

 

二つ目の方法

一方で熱力学第一法則より、

$$\Delta U =\Delta Q + \Delta W’$$

今は断熱変化なので、\( \Delta Q=0\)より、

\begin{align}
\Delta U &=\Delta Q + \Delta W’\\\\
&=0 + \Delta W’\\\\
&=\Delta W’
\end{align}

ここで、今は気体のことを考えているので、
仕事\(W’\)は、\(W’=-pV\)と書くことができます。よって、
\begin{align}
\Delta U &=\Delta W’\\\\
&=-p \Delta V
\end{align}

また、いま考えているのは、理想気体なので、ボイル・シャルルの法則
\begin{align}
pV &= NRT\\\\
p&= \frac{NRT}{V}
\end{align}
を使うことができます。
なので、これを先ほどの式に代入すると、

\begin{align}
\Delta U &=\Delta W’\\\\
&=-p \Delta V\\\\
&= -\frac{NRT}{V} \Delta V
\end{align}
よって、

$$\Delta U = -\frac{NRT}{V}\Delta V $$

こうして、内部エネルギー\( \Delta U\)を2通りの方法で表すことができました!

なので、この二つの式\(\Delta U= \frac{NRT}{V}\Delta V ,\Delta U = -\frac{NRT}{V}\Delta V\)を

=で結ぶと、

$$C_V \Delta T = -\frac{NRT}{V}$$

したがって、
$$C_V \Delta T +\frac{NRT}{V} \Delta V=0$$

この式を微分方程式としてとくことで、

ポワソンの関係式を導出します。

先ほどの式の両辺を\(NRT\)でわると、

$$\frac{C_V}{NR}\frac{\Delta T}{T}+\frac{\Delta V}{V}=0$$

となります。ここで前回の単元で学んだ、

マイヤーの関係式(定積熱容量と定圧熱容量の関係式)
$$C_p – C_V = NR$$

を用いると、一項目は

\begin{align}
\frac{C_V}{NR} &= \frac{C_V}{C_p – C_V} \\\\
&= \frac{1}{\frac{C_p}{C_V}-1}\\\\
&= \frac{1}{\gamma-1}\\\\
\end{align}

と変形することができるので、

$$\frac{1}{\gamma-1}\frac{\Delta T}{T}+\frac{\Delta V}{V}=0$$

となり、

$$\frac{\Delta T}{T}+(\gamma-1)\frac{\Delta V}{V}=0$$

という風に整理することができます。

ここで、\(\Delta T \rightarrow 0\),\(\Delta V \rightarrow 0\)という極限をとると、

$$\frac{dT}{T}+(\gamma-1)\frac{dV}{V}=0$$

この式の両辺を積分することで、

\begin{align}
\int \frac{dT}{T}+ \int (\gamma-1)\frac{dV}{V} &= 定数 \\\\
\ln{T}+ (\gamma-1)\ln{V} &= 定数 \\\\
\ln{T}+ \ln{V}^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
\ln{T \cdot V^{\gamma-1}} &= 定数 \\\\
\end{align}

これでまず、ポワソンの関係式の一つ目を示すことができました。

次にこの式を変形して、二つ目の式を導出します。

先ほどの式の\( \ln \)をとると、
$$T \cdot V^{\gamma-1} = e^{定数} $$

\(e^{定数}\)という値も定数になるので、

$$T \cdot V^{\gamma-1} = 定数 $$

となります。これで二つめの式を導出することができました。

最後にこの式から三つ目の式を導出します。

理想気体というのは「ボイル・シャルルの法則が常に成り立つ」ので、

\begin{align}
pV &= NRT\\\\
T&= \frac{pV}{NR}
\end{align}

を2つ目の式に代入すると、

\begin{align}
T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
\frac{pV}{NR} \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
\frac{pV}{NR} \cdot \frac{V^{\gamma}}{V} &= 定数 \\\\
\frac{p}{NR} \cdot V^{\gamma} &= 定数 \\\\
\frac{1}{NR} p \cdot V^{\gamma} &= 定数 \\\\
p \cdot V^{\gamma} &= NR \cdot 定数 \\\\
\end{align}

\( NR \cdot 定数\)という値も定数になるので、

$$p \cdot V^{\gamma} = 定数$$

よって、三つ目の式も導出することができました!

よって、

ポワソンの関係式を表す三つの式

  • \(\ln{T \cdot V^{\gamma-1}} = 定数\)
  • \(T \cdot V^{\gamma-1} = 定数\)
  • \(p \cdot V^{\gamma} = 定数\)

となり、ポワソンの関係式を導くことができました!!

 

まとめ

断熱操作:ある状態から、別の状態へと熱のやりとりなしに変化させる操作

 

ポワソンの関係式

理想気体を断熱変化させるとき温度\(T\)と体積\(V\)と圧力\(p\)は以下の関係が成り立つ。

\begin{align}
ln T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
T \cdot V^{\gamma-1} &= 定数 \\\\
p\cdot V^{\gamma} &= 定数 \\\\
\end{align}

 

この単元は以上です!お疲れ様でした!

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。